toshishita1

年下男はカワイイ狼

著者/夏川まどか

イラスト/朔ゆうき

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あらすじ

克美が久しぶりに再会した弟の友人・達也は、すっかり別人のいいオトコに。年下で奥手な達也だったが、どうやら克美に気があるらしい!? 前歯をぶつけるような不器用なキスから、慣れないベッドイン。うぶな達也をリードするつもりの克美だったがいつしか…。

ちょっとだけ立ち読み

 まるで嵐のようだった。
 熱い塊に体の中をえぐられ、上下もわからないほど激しく翻弄される。
 それが内壁を行き来するたびに、しびれるような快感が背すじを駆けのぼり、頭の芯に心地よい衝撃が走る。
「あっ……いいっ……いいっ!」
 達也やの逞しい体を抱きしめながら、克美は悲鳴のような声を上げた。
 テクニックらしいものもなく、ただがむしゃらに求めてくる若い肉体。そのエネルギーに触発され、克美もどんどん奔放になっていく。
「そ、そこっ……もっと突いてっ!」
 最奥を突きあげられ、子宮が震えるような強い快感を味わった。
 すきまもないほど密着した肉塊が、無理やり内壁を押しわけてこすりたててくる。それでも苦痛はない。克美の中からあふれた蜜が、二人の間に絡みつき、このうえない悦楽をもたらしている。
 体の中で動く達也の形が、目で見るようにはっきりわかった。大きくなめらかな頭頂部。力強くエラの張った幹。表面を走る血管がどくどくとうごめき、その脈動が内壁を通して、克美の背骨にまで伝わってくる。
「やっ……ああ……っ!」
 入口近くの感じる部分と、いちばん奥の敏感な部分を同時にこすられ、あまりの快さに涙があふれた。
 その涙を唇ですくわれ、さらにひと突きされる。
 気持ちよすぎて、もう耐えられない。
 逃げようとすると腰をつかまれ、根元まで深く押しこまれた。
 最奥までこじあけられそうな、強烈な圧迫感。その感覚が波のように広がり、絶頂に似た痙攣となって克美の全身をばらばらに砕く。
「いやっ! いやっ! もう駄目っ!」
 泣きじゃくりながら上げる声は、言葉の意味とは逆に、甘えてねだっている。
 それに応えるように、達也の動きがさらに激しくなる。
 もう何度目だろう。
 達しても達しても、若い達也はすぐに熱を取りもどし、貪欲に克美を求めてくる。
 休むまもなく絶頂をくりかえし、克美の体はもう疲れきっている。それなのにまだ、快感はやまない。
 素直な年下の男は、自分の欲望にもまっすぐだ。ありったけをぶつけて、刹那の情熱で克美をむさぼりつくす。
 一秒一秒を大切に味わいながら、二人は永遠を夢見てかたく抱きあう。
 最高の瞬間を味わうために、克美はまた頂上へと向かいはじめる——。

『土曜の夜、あいてる?』
 弟の雅俊からそんな電話があったのは、ひと月ほど前のことだ。
『達也って、俺が高校のときの同級生、覚えてるだろ? 大学で県外へ行ったまま向こうで就職したんだけど、転勤で戻ってきてさ。いちど飲もうってことになったんで、姉貴も来てくれよ』
 達也なら覚えている。雅俊と同じ部活で、学校の帰りにちょくちょく家に寄っていた。克美もよく顔を合わせて、他愛ない会話を交わしたものだ。
「なんで私? 同窓会じゃないの?」
『友達連中は、みんなの予定を合わせて、もっとあとに集まるんだよ。その前に一回、さ。俺はこないだ長話したばかりだから、ちょっと目先を変えようと思って』
「えー? でも、私がいたらかえって話しにくくない? 私も何話していいかわからないし」
『話題がなかったら、適当に相槌打っててくれればいいんだよ。一応歓迎会なのに、野郎二人きりなんて味気ないじゃないか。なー、いいだろ? 奢るからさあ』
「私、コンパニオンじゃないんだけどなあ」
 ぶつぶつ言いながらも、克美は承諾した。どうせ予定はなかったし、奢りで飲み食いできるなら損はない。誘い方が少し強引なような気もしたが、それ以上深くは考えなかった。
 当日、待ち合わせた居酒屋へ行った克美は、雅俊の隣にいる男性を見てとまどった。
 目鼻立ちのすっきりした顔に、流行のヘアスタイル。ラフな服装をスマートに着こなした、見知らぬイケメンだ。
「姉貴、こっちこっち!」
「克美さん、お久しぶりです」
 ぺこりと頭を下げたその笑顔を見て、ようやく達也だとわかる。当時は五分刈りでにきびの目立つ童顔だったのに、ずいぶん大人びて、まるで別人のようだ。
「達也くん? すっかり見違えちゃって、一瞬わからなかったわ」
「だろー? 俺も最初、声かけられてきょろきょろしちゃったもん」
「そんな、大げさですよ」
 達也が照れたように言ったが、しぐさも口調も落ち着いて様になっている。
 ——やだ、ちょっとどきどきしちゃう。
「もう何か注文した? 私、お腹すいちゃったー」
 動揺を隠して克美がメニューを手に取ると、雅俊が呆れたようにツッコミを入れた。
「来て早々それかよ。姉貴はあいかわらず、色気より食い気だよな」
「うるさいわね。人間、食欲がなくなったらおしまいよ」
「たしかに、食欲のない姉貴なんて想像できないけどな」
「言ったわね。あんたが破産するほど食べてやるから」
 かっこよく変身した達也を意識するあまり、見栄をはりたいと思う気持ちとはうらはらに、なぜか道化たことばかり言ってしまう。
 幸いにも、それがかえってよかったらしく、達也もすぐにリラックスして口が軽くなった。いつのまにか話がはずんで、満腹するころには、すっかりうちとけた雰囲気になっていた。
「なあ姉貴。あいつ、どう思う?」
 達也がトイレに立ったすきに、雅俊が急に真顔になってきいてきた。
「どうって?」
「女の目から見て、どう? イケてる?」
「あ、ああ……そうね。ずいぶんかっこよくなったよね」
「あいつさあ、高校のときから、姉貴のこと好きだったみたいよ」
 どきんとした。
「へ、へえー、そうなんだ?」
 雅俊はそれ以上何も言わなかったが、克美は、なぜ雅俊が自分を呼んだのか合点がいった。ふしぎと腹は立たなかった。

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